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2017.01.27
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神奈川新聞掲載コラム 後藤 基志

光でプラズマを診る

物理科学研究科
核融合科学専攻 准教授
後藤 基志(ごとう もとし)

総合研究大学院大学核融合科学専攻准教授。工学博士(京都大学)。核融合科学研究所の大型ヘリカル装置(LHD)で分光計測を担当。国立天文台ひので科学プロジェクト併任。

300年以上前に、ニュートンがプリズムを使って、太陽光を色(波長)の成分に分解した。これがプラズマ分光研究の始まりと言えよう。プラズマとは、超高温状態にある電子とイオンの集合体のことで、そこで発生する核融合反応を、未来のエネルギー源として活用するための研究が行われている。

現在、私は、核融合科学研究所の大型ヘリカル装置(LHD)において、核融合プラズマ中のタングステンイオンのふるまいについて調べている。タングステンは将来の核融合発電炉の炉壁材料の候補である。1億度を超える超高温プラズマとの接触で炉壁から弾き出されるタングステン原子は、イオンとなりプラズマ中に蓄積して、プラズマの温度低下を招き、核融合反応の効率を下げてしまう。このような不純物原子の性質を明らかにすることは、核融合プラズマ研究において重要である。

実験では、意図的にプラズマ中にタングステンを混入させ、同イオンから放出されるエックス線から可視光までの広い波長範囲の光を分光計測している。虹は7色の成分で表されるが、プラズマ中でタングステンイオンが放出する光に含まれる成分は、何百万にもおよぶ。コンピューターシミュレーションを用いた計測結果の分析から、タングステンイオンがプラズマを冷却させる効率など、タングステン固有のさまざまな性質がしだいに明らかになってきた。

大型ヘリカル装置(LHD)によるプラズマ生成時の可視カメラ画像。

(協力=科学コミュニケーター・西岡 真由美)

このコラムは2016年6月~2017年5月まで24回にわたり神奈川新聞にした
連載「総研大発 最先端の現場」に一部加筆・修正(写真の差し替え)をしたものです。

Posted On 2017.01.27 By 広報社会連携室
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