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学長からのメッセージ

学長からのメッセージ

総合研究大学院大学長 畑尚之

総合研究大学院大学(以下、総研大)は、大学共同利用機関が有する優れた人材と研究環境を活用して博士課程の教育を行い一流の研究者を養成する、という世界でも類例のないコンセプトのもとに昭和63年10月に設立されました。大学共同利用機関とは、各研究分野において日本全国の大学が共同に利用できる研究所のことです。各大学共同利用機関はそれぞれの研究分野の中核拠点としての機能、また研究者コミュニティの取りまとめ役としての機能や国際的な共同研究を推進する機能を果たしています。

総研大はこのような大学共同利用機関を研究科・専攻の基盤機関とする、学部をもたない大学院だけの大学(独立大学院大学)です。この独特の制度はそのまま総研大教育の特色となっています。もっとも顕著な点は、大学院教育が各基盤機関の研究の現場において直接実施されることです。基盤機関では専門性の高い国際的な研究活動が実施されていますが、それを活用して「高い専門性」と「国際的な通用性」を養成することを目指しています。

一方、総研大の基盤機関あるいは専攻全体をみると、文化、歴史、情報、生命、エネルギー、物質、宇宙など実に多様な分野の研究が行われています。したがって、この学術的な多様性を活用して、「広い視野」を持つ人材を養成することがもう1つの大きな教育目標です。広い視野の養成には、必ずしも複数の専門領域に精通する必要はありません。しかし、自分の領域とは異なる領域における問題や課題は何かを理解することが必要です。逆に、自らの専門領域については真摯に、かつ厳密に理解してもらわねばなりません。したがって、視野の広さとは、自分の専門的な知識を他の知識に結合することであり、知識全体の中に位置づける能力のことなのです。

学生のみなさんには、こうした総研大の制度的特色や教育目標のもとに、機会を追求して大きな課題に挑戦されることを願っています。容易に成功しそうなものを選ぶようでは、大きな成果は得られません。そのとき大学の果たすべき役割は、学生一人ひとりの強みがより大きく展開できるように指導・支援し、学んだことがやがて人生や仕事で使えるようにすることにあります。

本学に限らず各大学が行っている高等教育は、「知識(基盤)社会」を支える柱です。しかし、知識社会への移行はようやく広く認識されるようになってきたところであり、多くの分野でこれまでとは全く異なった考えや仕組みを創造しなくてはならない状況にあります。大学院教育に関してもその役割と機能を見直し、責任を負うべき成果を明らかにしなければなりません。総研大においては、人材養成目的の検証、基礎教育のあり方、他機関との連携などさまざまな課題や期待があります。社会や大学のこうした移行時に、関係各位には総研大の一層の発展のためにご理解とご協力を賜りますようにお願い申し上げます。

平成24年4月1日

総合研究大学院大学長
高畑尚之

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