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研究者・研究ハイライト紹介

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「-旅人-フロンティアを
目指す研究者」

物理科学研究科核融合科学専攻 大野誠

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“自分を一言で表すと、「旅人」ですかね。”
自身を”旅人”と称する大野誠さん(核融合科学専攻五年一貫制博士課程2年)にインタビューを行いました。所属する剣道のスポーツクラブではその爽やかさと笑顔で”プリンス”とまで呼ばれる大野さんに、総研大での研究に対する情熱と日々の学生生活などについて伺いました。

 

Q:どうして核融合分野を志したのですか?

A:理由は2つあります。1つ目は高温プラズマの物理に興味があったことですね。2つ目は学部4年の春に起きた東北大震災です。震災による原子力発電の信頼の失墜にともない、エネルギー問題が大きなトピックになりました。そこで将来のエネルギーを考えたときに、新しい発電方法が重要になるのではないかと思ったんですね。その中で自分が何か貢献できないかと考えて、核融合の分野に進みたいなと思ったんですよ。
 核融合以外にも風力や水力などの発電方法がありますが、それらはコンスタントに発電することが難しい技術です。核融合発電は人間がコンスタントに発電できるベースの電力になりうることも、この分野に進もうと決めた理由ですね。

Q:東京大学や京都大学にもプラズマ実験装置があります。どうして総研大核融合科学専攻を選んだのですか?

A:こちらも理由が2つあります。1つ目は、核融合科学研究所(以下、NIFS)は国内の核融合科学研究の拠点であるということです。国内の核融合科学の研究者が多く集まることに魅力を感じました。2つ目は、国内にある装置の中でもNIFSにある大型ヘリカルデバイス(以下、LHD)では、将来の核融合炉開発において役立つ有用なデータが多く得られるのではないかと考えたからですね。LHDはプラズマ実験装置の中でもヘリカル方式と呼ばれる装置で、これまでも多くの研究成果を上げてきました。僕もその装置で実験したいと思ったのです。

Q:五年一貫性博士課程に入学することへの不安はありませんでしたか?

A:修士を卒業して就職というのは考えてないわけではないです。ただ、自分は研究が好きで、親父も応援してくれた。それでもやっぱり、入学時点で博士課程まで進むことが決まるのはかなり怖かった。でも、人生では、失敗するかしないかはどこにいってもついてくると思ったんですよ。そう思えたから、やりたい方向を選びました。

Q:研究内容について教えてください。

A:プラズマ中における乱流を計測し解析する研究をしています。核融合発電で必要な核融合反応では、粒子間の電気的な反発力を越えるのに十分な速度を持った粒子を有限の領域に閉じ込める必要があるんですよ。NIFSではプラズマをドーナツの様な環状の構造を持つ磁力線によって閉じ込める(磁場閉じ込め方式)研究が進められています。限られた空間に閉じ込めたプラズマは外部から供給されたエネルギーがプラズマ中の流れを介して外へ流出する開いた系になっているんですね。この系において、プラズマ中の温度や密度、電位といったパラメーターの揺動はプラズマ閉じ込め特性に影響を与えることが知られています。私はこのプラズマ中の揺動がどのような時間的・空間的構造を持つのかを調べることを通して、閉じ込めのメカニズムを明らかにしたいと考えています。
 揺動の時間的・空間的構造を解析するためにはプラズマ中の局所からのパラメーターを計測する必要があります。局所計測の一つであるビーム放射分光(Beam Emission Spectroscopy: BES)法はプラズマの密度揺動の計測に用いられてきているんですね。 BES法は、プラズマ中に入射される電気的に中性な水素原子ビームからの発光を計測します。入射した水素原子の一部はプラズマ中のイオンや電子と衝突により励起され、光を放出します。衝突励起の生じる頻度はプラズマの密度に依存するため、この発光強度の揺動からプラズマ密度揺動が測定されるんですよ。
 BES法で取得した密度揺動データからプラズマ中の揺動のスペクトルを調べ,特徴的な揺動成分について、その伝搬の時空間構造を解析しています。検出される様々な周波数・波数の揺動に対して、その構造の形成過程と閉じ込め性能の相関を調べていきたいと考えています。

Q:核融合科学専攻の入学前と入学後の印象の違いはありますか?

A:まずは大学という感じがしないことですね。学部時代の先輩の研究室での様子と比べるとかなり違う。上の学年も下の学年も少なくて、僕だけが学生じゃないかと思うこともあります(笑)。
 そういう意味では、研究として良い環境に”ぽっ”と投げ出された感じがしました。自分で何かアクションを起こしていかないといけない環境だと強く痛感しました。
 あと、様々な分野の先生がいらっしゃるのがいいですね。NIFSは発電炉を強く意識しているので、プラズマ以外にも発電システムを研究されている先生方もいる。このように発電炉を意識したことも学ぶことができることは入学前のイメージとは違いました。

Q:研究以外の楽しみはありますか?

A:学生が少ないのもあって学生同士の仲がいいですね。いろんな人と気軽に話ができるのがリフレッシュになる。それに、岐阜は自然に恵まれているのでアウトドアスポーツにチャレンジできる。僕自身は山登りに初挑戦しました。また、山だけでなく意外と海も近いのでサーフィンにいったりもしています。

Q:他の専攻の学生との交流はありますか?

A:ありますね。たまに飲み会などもします。僕自身が学生セミナー実行委員(注1)であったときに多くの他専攻の学生と話をしました。他専攻の研究所を訪れたりもしましたね。学生セミナー実行委員での経験は、自分の物事の考え方にかなり影響を与えたと思います。

Q:卒業後は何をされるおつもりですか?

A:核融合の研究は続けたいなと思っています。でも、新しい現象をみたいから、NIFSの外にも出て行きたい。小型でもいいから自分の計測器を装置につけて現象をみたい、そんな夢がありますね。

Q:最後に、核融合科学専攻を受験する人に一言アドバイスをお願いします。

A:プラズマ物理を志すなら、入学前に入門書を一冊読んでおいたほうがいいと思います。授業ではプラズマ物理の知識があるとより理解が深まると思います。

-インタビューを終えて-

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核融合科学研究所正門前で

 50分にわたるインタビューの間、時にユーモアを交えながらも真剣に自身の研究について語る姿には大きな情熱を感じました。自身の興味がある方向に進み、失敗を恐れずに挑戦する姿には、”旅人”であるとともに核融合分野の”フロンティア”を担っていく強い意志をも感じました。

 
注1)
学生セミナーとは総研大が実施する全学教育のひとつ。専攻を超えた学生が集まってチームをつくり、チームごとに様々なプロジェクトに取り組む。詳しくは下記URL参照のこと。
学融合推進センター「学生セミナー」
URL: http://cpis.soken.ac.jp/project/education/stusemi/index.html

インタビュアー・記事作成 核融合科学専攻 坂東隆宏

大野誠

大野誠

所属:物理科学研究科核融合科学専攻 5年一貫制博士課程2年
専門:プラズマ物理学
平成24年3月東京農工大学工学部物理システム工学科卒業。同年4月より総合研究大学院大学5年一貫制博士課程。

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