東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科歯周病分野の芝多佳彦助教、小林宏明臨床教授、岩田隆紀主任教授、生涯口腔保健衛生学分野の駒津匡二医員、統合教育機構の須藤毅顕特任助教らの研究グループは、総合研究大学院大学の澤藤りかい日本学術振興会特別研究員、新潟医療福祉大学の佐宗亜衣子助教、東京大学の植田信太郎名誉教授、日本大学の渡辺孝康助教との共同研究で、江戸時代の古人骨から採取された歯石のDNAを解析することで、江戸時代と現代の人々で口腔内細菌叢組成が異なることを明らかにしました。また、古代人頭蓋骨にマイクロコンピュータ断層撮影法*1を用いた形態学的計測による歯周病の診断方法を考案し、当時の人々が歯周病へ罹患していたことを明らかにするとともに、現代とは異なる歯周病の原因菌が関与していた可能性を示しました。つまり、歯周病を代表する複数の細菌が関与する感染症では、時代や環境により同じ疾患でも原因菌が異なる可能性が考えられます。本手法を先史時代など様々な遺跡の試料に適用することで、過去の人類における口腔疾患への罹患状況やその原因となる細菌種を明らかにする手法として広く応用可能であると考えています。この研究は文部科学省科学研究費補助金の支援のもとで行われたもので、その研究成果は国際科学誌Frontiers in Cellular and Infection Microbiologyに、2021年9月20日にオンライン版で発表されました。