2023.06.20

偏った光で核融合プラズマの磁場を計測したい

SOKENDAI研究派遣プログラム 採択年度: 2022

熊井光

核融合科学

研究の流れ,概観

光が磁場の中にある媒質を通る際に,光の偏光面が回転する物理現象「ファラデー効果」が強く表れる磁気光学材料の研究(左),ファラデー効果を利用して,高速に変化する磁場を計測するセンサの研究(中央),計測対象は,核融合プラズマ装置内の局所的な磁場分布(右).

核融合発電を実現するためには,反応物のガスを電離(プラズマ化)させ高温高圧状態を維持する必要があります.核融合プラズマ実験装置中には,プラズマを閉じ込める磁場,プラズマにより作られる磁場があります.これまで,磁場を様々なセンサを用いて計測し,そのデータを解析することにより,プラズマを理解し,制御しようと試みられてきました.しかし,通信などに用いる人工的に作られた電磁波と異なり,プラズマ実験装置内の磁場は複雑に変化します.従来は電気回路を用いた計測器が用いられてきました.私は,磁気光学効果(ここでは,特にファラデー効果:光が磁場中の材料を通る際に,光の磁場が振動する面(偏光面)が回転する物理現象を指します)を用いた光学的手法のセンサを開発し,より高速でノイズの少ない磁場計測を実現することを目標として研究を行っています.

今回,新しい磁気光学効果材料フッ化ジスプロシウムカリウム,フッ化ジスプロシウムナトリウムの室温環境下におけるファラデー効果の大きさがフッ化テルビウムカリウムなどの既存材料に匹敵することを明らかにしました.

また,ファラデー効果材料は,光学系において光源へ戻ってきて不安定化させる光をせき止める光アイソレータという光学部品にも用いられます.ファラデー効果が強ければ,材料に磁場印加する磁石を小さくできるため,小型化や高性能化することができます.よって,新規材料を開発・探索することは,重要な研究課題です.今後は,他光学材料の評価や磁気センサ開発を行います.

派遣先滞在期間

Date of Departure: 2023/02/02
Date of Return: 2023/03/4

国、都市等

チェコ共和国

機関名、受入先、会議名等

HiLASE Centre, Institute of Physics of the Czech Academy of Sciences

‍派遣中に学んだことや得られたもの

今回の派遣では,研究におけるコミュニケーションの重要性を再認識しました.研究は,指導教員,他の学生,共同研究者など,あらゆるグループ単位で行われる人間同士の協業によって推進されます.コミュニケーションの質,量が十分に確保されており,目的意識を共有できて,初めて良い研究が行えます.質.量を向上させるために,積極的に発話し,言語技術の鍛錬にも励みます.

物理科学研究科 核融合科学専攻 熊井光

2021年,金沢大学理工学域電子情報学類卒.学部時代は,走査型イオン電導顕微鏡よるグラフェン材料評価,電気光学効果を用いた光偏向・集光デバイス設計を経験しました.趣味はドライブ,映画鑑賞です.

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