2026.06.08
有機配位⼦および対アニオンの分⼦修飾によるハレニウム錯体触媒の創製
SOKENDAI研究派遣プログラム 採択年度: 2025
寺島悠人
錯体のNMR測定を実施する際には、正確なピーク値を入手するために、サンプルが空気に接触しないよう注意します。グローブボックス内は窒素充填されているため、サンプルを調製するのに適切です。
現在開発中のハレニウム錯体触媒は、一価ハロゲン、ビスピリジル配位子、有機対アニオンから構成され、構造中に「三中心四電子ハロゲン結合」を有します。本錯体の配位子および有機対アニオンに有機合成化学的な分子修飾を実施することで、触媒活性の向上・新規反応の実現が期待できます。そこで配位子および対アニオンに電子供与基あるいは電子求引基を導入した錯体のライブラリーを合成し、それらの収率データおよび触媒構造に基づくパラメーターを用いて、機械学習により最適な置換基を探索しています。
本派遣では、NMR測定法である15N HMBCおよびDOSY、IPEに関する測定技術を習得しました。派遣先のウプサラ大学には、クライオプローブを搭載したNMR装置があり、高感度な測定が可能でした。各測定後に解析を実施することで、15N HMBCからは配位子窒素原子のNMRピーク値を、DOSYからは錯体の拡散係数を入手しました。配位子に導入した置換基の違いにより、ピーク値および拡散係数の変化が観測されました。またIPEにより、三中心四電子ハロゲン結合が主として、一価ハロゲンおよびビスピリジル配位子窒素との間で形成されていることを確認しました。
今後、種々の置換基を有する配位子および対アニオンから構成される新規錯体に対して、本派遣で習得した技術を駆使して各種NMR測定を実施します。そして、入手される値を機械学習におけるパラメーターとして利用し、最適置換基を探索する予定です。
派遣先滞在期間
Date of Departure: 2026/02/07
Date of Return: 2026/03/02
国、都市等
ウプサラ (スウェーデン)
機関名、受入先、会議名等
ウプサラ大学 Mate Erdélyi 教授
派遣中に学んだことや得られたもの
NMR測定を専門とする研究者から説明を受けることで、繊細な心で測定・分析に向き合う姿勢の重要性を再確認しました。また、実験操作に関して議論する中で、自分の意見を尊重しつつ、柔軟に他者の意見を受け入れることの重要性をも再確認しました。
本プログラムにおいて、ご支援を賜りましたこと、御礼申し上げます。今回派遣先で習得した測定技術を駆使し、今後の研究遂行に努めて参ります。
分子科学コース 寺島悠人