2026.10.29

格子QCDで探る物質の正体

SOKENDAI研究派遣プログラム 採択年度: 2026

板谷さくら

素粒子原子核

Jouhikanteleen aika-avaruuden tutkimusmatkailijatヨウヒカンテレの時空探検隊 (右からRauno Nieminen、調査者、Petri Pentikäinen。写真:Paula Pasanen)
格子QCDによる複合粒子の解析とその先 (図の作成にあたってはChatGPTを使用した)

 私たちの身の回りにある物質は、原子、原子核、そして陽子や中性子からできています。では、陽子や中性子は、さらに小さなクォークからどのように作られているのでしょうか。この問いを理解する鍵となるのが、クォークの相互作用を記述する理論「量子色力学(QCD)」です。しかし、クォーク同士の相互作用は非常に複雑で、QCDを数式だけで解析することは容易ではありません。

 そこで用いられるのが「格子QCD」という数値計算手法です。格子QCDでは、空間と時間を格子状に区切り、QCDに基づいてクォークの振る舞いをコンピュータ上でシミュレーションします。そして、クォークの相互作用から得られる「相関関数」を調べることで、陽子や中性子などの複合粒子の性質を理論的に予測することができます。格子QCDは、パイ中間子など比較的安定な粒子の研究で大きな成果を上げてきました。一方で、短い時間で別の粒子へ変化する「不安定な複合粒子」については、得られる情報が限られています。

 そこで私は、相関関数から取り出す情報を工夫し、不安定な複合粒子の性質をより詳しく調べる方法を研究しています。この手法が確立されれば、理論と実験の比較が進み、現在の素粒子理論の検証だけでなく、まだ発見されていない新しい粒子を探す手がかりにつながることが期待されます。 

派遣先滞在期間

Date of Departure: 2026/8/16
Date of Return:  2026/9/6

国、都市等

ジュネーヴ (スイス)

機関名、受入先、会議名等

機関名: CERN
会議名: CERN-MPQ-UIBK Summer School

‍派遣中に学んだことや得られたもの

 この研究派遣プログラムで、私は初めて海外の世界的規模の国立研究所に滞在しました。サマースクールにはヨーロッパを中心に世界中から学生やポスドクが集まり、講義や演習はもちろん、休憩時間でお互いの研究について語り合うなど、あらためて自分の研究内容を見つめ直す良い機会となりました。また、サマースクールとは別で個人的にCERNの研究者と連絡をとり、自分と同じ分野のCERNの研究グループと交流する機会も設けていただきました。ポスドクとして申し込む可能性のある場所として、見学することができ良かったです。

素粒子原子核コース 板谷さくら

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