2026.10.29

北極の土壌微生物多様性に渡り鳥は影響している?

SOKENDAI研究派遣プログラム 採択年度: 2026

青木博也

極域科学

北極に渡り、子育てをするガン(カオジロガン)
北極に渡り、子育てをするガン(カオジロガン)
植物を食べているガンの親子の群れ。7月に生まれたひな(灰色の羽毛)は夏の間に親と同じくらいの大きさにまで成長し、秋には南に渡っていきます。

 北極の土壌微生物と聞いて、どのようなイメージを持つでしょうか?そもそも北極の陸域には、雪が降り積もり、生き物や土さえもほとんどないという印象を持つかもしれません。しかし、カナダやノルウェーなどの北極域では、春になると雪が解けて地面が現れ、多くの植物が成長を始めます。北極に暮らすトナカイはその植物を食べますし、南方からやって来る渡り鳥のなかにも植物を主食とし、北極で卵を産み、雛を育てることができる生態系が広がっています。このような渡り鳥の一種である草食性のガン類は、雛を育てている間は、雛が安全に過ごすことができる狭いエリアに滞在します。そのため、そのエリアの多くの植物は食べられ、多くのフンが落とされるため、周囲とは異なる環境がつくられているように見えます。

 私は、この狭いエリアにいる土壌微生物多様性は、それ以外の場所とは大きく異なっているのではないかと考え、研究を進めています。2026年の夏にノルウェーのスバールバル諸島にあるニーオルスンで、本プログラムを利用して、土壌微生物の遺伝子解析や環境分析のための試料採取、植生調査、そして土壌微生物の呼吸測定を行いました。

 今後は持ち帰った試料の分析や現地で取得したデータの解析を進め、渡り鳥が土壌微生物の多様性や活動にどのような影響を与えているのかを明らかにするとともに、土壌微生物多様性の維持機構や変化の要因の理解を深めたいと考えています。 

派遣先滞在期間

Date of Departure: 2026/7/8
Date of Return:  2026/8/14

国、都市等

ノルウェー、ニーオルスン

機関名、受入先、会議名等

国立極地研究所

‍派遣中に学んだことや得られたもの

 今回、北極のニーオルスンには二度目の渡航でしたが、現地で調査や実験を進めるなかで、想定していなかったことや準備が足りなかったことに直面し、事前準備の重要性を改めて学びました。一方、ニーオルスンはさまざまな国の研究者の集う北極観測拠点であるため、長年ガンを研究しているオランダの研究者から、滞在中に多くのアドバイスをいただきました。より多くの研究者とより深い議論や交流ができるようになるため、語学力の向上をしたいと強く感じました。

極域科学コース 青木博也

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