2025.01.01

2025年 学長・年頭のご挨拶

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新しい年を迎えるにあたり,皆さまにひとことご挨拶申し上げます。

昨年を振り返ると,元日に発生した能登半島地震や翌2日の羽田空港火災など,まさに多難な一年を象徴するような幕開けであったとの感を拭えません。その後も,各地の豪雨災害や南海トラフ巨大地震注意の発出など,人々の生活を脅かす出来事が多々起こりました。改めて,災害の犠牲となられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに,被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。

世界に眼を向ければ,長期化するロシアのウクライナ侵攻や死者4万人を超えるガザ地区の戦闘,世界各国の不安定な政治情勢やエネルギー危機など,人類社会の潮流が望ましからざる方向に向かっているとの不安を覚えるのは私だけではないと思います。

学術の世界においても,潮流の変化を実感した年でした。10月に発表されたノーベル賞は,人工知能の基礎となる手法を開発した2人の研究者に物理学賞が,計算機や人工知能を使ってたんぱく質の設計や構造予測を可能にした3人の研究者に化学賞が贈られました。既存の学問体系や研究手法には囚われない,これからの学術の方向性を強く感じさせる受賞であったと同時に,学術の世界に留まらず,人工知能や生成AIが人間の諸活動や思考にますます深く浸透してくる未来の社会像を否応なく想像させる出来事でした。

そのような時代だからこそ,一人ひとりが“自分の頭で考える”ことの重要性を痛感します。世界の各地で紛争が勃発し,異常気象による災害が頻発する中で,どうしたら世界が少しでも良い方向に向かって進んでいけるのか,人類の考える力が試されているような気がしてなりません。

ますます厳しくなる状況のなか,SOKENDAIは何処に向かい何をすべきかを常に考え,学内外の方々とも真摯に議論しながら,全力で大学運営に努める所存でおります。皆さまにも,どうぞ温かいご支援をいただけますよう,本年もよろしくお願い申し上げます。

2025年1月1日
総合研究大学院大学長

永田 敬

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