2026.01.01
2026年 学長・年頭のご挨拶
新しい年を迎えるにあたり,皆さまにひとことご挨拶申し上げます。
本年2026年は第3ミレニアムの新たな四半世紀の始まりの年です。ミレニアムイヤーと呼ばれた2000年からの25年間を振り返ると,テロや紛争,異常気象,大規模災害,金融危機,パンデミックなど,人類社会を脅かす数多くの出来事が思い浮かびます。
学術に目を向ければ,パラダイム転換の四半世紀だったと言えるでしょう。米国のコンピュータ科学者Jim Grayが,それまでの経験科学・理論科学・計算科学に続く「第4パラダイム」として「データ集約型科学Deta-Intensive Science」の概念を提唱したのは 2000年代初頭のことです。データ集約型科学は,膨大なデータを収集・分析し,データマイニングや機械学習を用いて新たな科学的知見を得るデータ駆動型の研究アプローチです。
しかし,この数年間の生成AIの爆発的な進展によって,遠からず「第5の科学」の時代が到来すると言われています。その「AI駆動型研究」では,AIは単なる道具ではなく,仮説を立て,実験を設計し,データを解析して新たな知識を発見する過程にAIが主体的かつ自律的に関与すると考えられています。「SFの父」と呼ばれるJules Verneの“Anything one man can imagine, other men can make real”という言葉を思い起こせば,「第5の科学」は決してSFの世界の事とは言えません。そして,その時に研究者はどのような役割を果たすべきか?
昨年のノーベル賞は,生理学・医学賞の坂口志文先生,化学賞の北川進先生の10年ぶりのダブル受賞が日本中を沸かせ,改めて,基礎研究の面白さと大切さ,自らの作業仮説を最後まで追い続ける本来の研究のあり方を強く認識する機会となりました。そのような研究のあり方とAIをどう整合させていくのかを考えることも研究者の役割でしょう。
時代が大きく変化していくなかで,これからを背負っていく若い人達が自分事としてより良い世界,より高い学術を想像できるよう,SOKENDAIは今何をすべきかを考え,学内外の方々とも真摯に議論しながら,全力で大学運営に努める所存でおります。皆さまにも,どうぞ温かいご支援をいただけますよう,本年もよろしくお願い申し上げます。
2026年1月1日
総合研究大学院大学長
