対談 中村真 中央大学教授 (修了生)(3/3ページ)

今必要なのは国立と私立の分業制? 産業に近い私立、基礎科学の国立

岡田 話は変わりますが中央大学は私立ですね。総研大は国立大学で今、国立大学に対する運営費交付金が削減されようとしている訳ですけれども、私立大学の立場として国立大学の役割、私立大学の役割はどういう風に考えられていますか。

中村 私立大学では産業に近い分野に力を入れやすい側面があるように思います。一方、国立大学や国立の研究機関の場合は、基礎科学に大きな予算をつぎ込んでいくことが可能な環境にあると思います。例えば、KEKで行っているような加速器を使った実験は日本の私立大学では無理です。他にも国立極地研究所(極地研)のように、例えば南極を研究対象とするような、私立大学ではなかなか手が出せないような専門分野を守備範囲に持っている例もあります。国立大学には、今後もそうあってほしいと思います。

永山 僕の印象では私立は教育が中心で、研究の根幹はやはり国立という役割ですよね。

中村 現状では、そういう面もあるかも知れません。ただし、少し不思議なのはアメリカの場合で、有名大学はほとんど私立です。プリンストンやスタンフォード、カリフォルニア工科大学やMIT、ハーバード大学などですね。そこで基礎研究も強力に推進している。あの違いは何だろうと思います。日本の場合はどうしても規模や色々な面で国立大学が非常に充実しているので、基礎科学を推進していく大きな役割を国立大学は担っていると思います。

自由に人生の地図を描く 学生たちよ、総研大の門戸を叩け!

岡田 学生さんとか若い人に先生からアドバイスというか、刺激になるようなメッセージをいただけるとうれしいです。

中村 あまり世間一般で言うところの常識にとらわれて欲しくなくて、ある意味誠実で真面目な人でなければいけないけれども、いい子である必要はありません。自分の人生というのは、必ずしも人の人生の教科書に書いてあるのと同じとは限らないわけですから、一般常識にとらわれずに自由に人生の地図を描いてほしいと思います。
企業に入る方もいらっしゃるでしょうけれども、研究者になるとしたら総研大というのはとても貴重なキャリアパスの一つだと思います。総研大は、日本の大学院の中でも特別な存在で、他の分野にいたような人でも割と入っていきやすい雰囲気があり、多くの研究所で構成されている特長もあります。そういう意味では総研大の存在をもう少し知って欲しいですね。入学したら活躍できるということも知っていただきたいと思います。

岡田 本日はありがとうございました。先生のますますのご活躍を本当に期待しています。

中村 こちらこそ、ありがとうございました。

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